「長持ち」なんて古民具、今の人は聞かないでしょう。
長方形をした木製の錠を備えた蓋つきの箱は、
かつて花嫁が輿入れする際の必需品でした。

横幅150㎝強、縦幅と高さが各60㎝強。
人も入れるくらいです。
衣装、蒲団、調度品などを収納していたんですね。

箱の両端には金具がついている。
棹を一本通せば、二人で担いで運ぶこともできます。

和骨董、とりわけ木製のものに、私は強く惹かれます。
木には生身の温もりがあり、
古いものには、滋味深い懐かしさや優しさがたたえられています。
傍に置くと、心鎮まるのです。

当局に長持ちがやってきたのは、昨年末のことでした。
長持ち、要りませんか?

私と当局で関わりをもつようになったその方は、
私の嗜好というものを感じ取ってくれていて、声をかけてくれたのです。
この人なら、きっと大切にしてくれるだろう、とも。

赤い糸のなせる業だったのかもしれない。
ビビッ。軽い電流が走ったのです。

それからすぐ、もらってください、お役に立ちますから。
聞こえたというより、胸に浮かんだ気がしたのです。
詳細を聞く前に、私は二つ返事でした。

近所に住む関西出身の70代の親類が終活していて、
物の整理は最終段階に入ったといいます。

嫁いだ娘さんは、狭いマンション住まい。
古いものには全く興味を示さない。

かといって、母親の代から継いだ思い入れのある嫁入り道具を、
ただ処分してしまうのは忍びない。

長持ちが来てくれて、本当によかった。
見て癒され、たくさん入って実用的です。
まだハネムーン気分でいます。