専門書

正月気分冷めやらぬ今月4日の夕刻の便。
羽田から三泊四日の旅程で上海に向け出発した。

いまも続く険悪な雰囲気の漂う日中関係だが、
それを示唆していたように、
搭乗者の身のこなしや会話からはそのほとんどが、
中国人らしくしか見えなかった。

やはり振る舞いを見てすぐ思った若干の日本人男性だが、
あれはたぶん、正月休みを日本で過ごした現地駐在員だったろう。

上海へは、観光が目的ではなく、専門書を購入するためだった。
自称、中医学の専門家が、
源流の国の本を読まずに何を読めばよいのだろう。

本はネットで日本からでも購入できるが、
なにゆえモノは専門書だ。
立ち読みをしないで購入するなんて、
勇気のいるくじ引きをするのと等しい行為でしかない。

上海市中心部の黄浦区福州路は、
かつて書店街として活況を呈した地だ。

紙の書籍は中国も同様、悲惨な状況にある。
本はネットでという現代版の荒波の侵襲をもろに受け、
街は櫛の歯が欠けたように、目立つの空き店舗の数だ。

当地に唯一残る「上海書城」は、
7階建てのビルのフロアを占有する、市内屈指の大型書店だ。

すたれつつある街並みの風景のなかに、
その構造物の面構えが際立つ。
それを眼前におさめて私は、
ここまで来れて本当によかったな、
との安堵の胸をなでおろすのだった。

日本に持って帰れる本の冊数には限りがある。
滞在中はそこに何度か通って、
吟味、選択し、本を購入してきた。

中国の出版社数は、その広大さに比例する。
地域によって取り扱う書籍の種類も異なる。
次に出会える専門書は、北京でだろうか、知人の住む広州でか。

上海には租界地だった欧風香る洗練されたポプラ並木の美しい街並みがある。
家庭的な上海料理の濃淡は、自分の口によく合う。
もう一度上海もありかもしれない。

そして中国といえば外せないのは、
90年代の留学時代を過ごした思い出の地、四川だ。

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