女子学生

あさみどり色のレースのカーテンに、
あたたかで透明な朝の光が透けて見えます。

そこにくっきりと浮かび上がっているのは、
レースに散りばめられた丸い葉っぱの繊維模様。
そんな1日の始まりのコラボに、近づく春を感じました。

昨夜はちゃんと寝たよな、
なのになんだかほんわかしてきて、
まぶたが重くなってくるのでした。

おい、朝から春眠あかつきを覚えずをじでいく場合なのかよ、
だれかに肩をポンとたたかれて、ハッとしたのでした。

夜は北風が吹くかもしれません。
この先、寒の戻りもあるでしょう。
春は気ままにいったりきたりして、こっちに近づいてきます。

寒風が頬をすべるつい先日の朝早くのこと。
顔のマスクが邪魔にならず、
冬物のコートが、ちょうどよい朝でした。

女子学生がひとり、バス停の前に。
自己主張の強い短めのスカートから、
つるつるのナマ足をだして。

寒くないんだろうか、
というか冷たすぎて痛くないんだろうか。
こっちの背筋からおしりにぞくぞくが走るようでした。

彼女の上下の恰好が、なんともアンバランス。
彼女は無理をしていて、寒そうにしているように見えました。

髪の毛を敷いた首に制服と同系色のマフラーをくるっと巻いていて、
ジロジロ見れなかったので記憶はあいまいだけれど、
たぶん耳にはイヤホンをしていて、
そういう首の巻きつきと耳のくっつきで、彼女の首から上が重たく見え、
きっとそれで余計に私には、彼女が寒さに首をすくめているように見えたのです。

校則にしばられたくない。
大人の言うことをきかない。
そんな十代を私も過ごしました。

バス停の彼女を通り過ぎながら私は無言で彼女に、
「自分のからだを大切にしなさい」といったのでした。