約一月前に見た新聞記事だったと思います。

中国では漢方薬として珍重される野生哺乳動物「センザンコウ」。
漢字で「穿山甲」と書きます。

その動物から新型コロナウイルスに似たウイルスが見つかったと、
香港大などの研究チームが発表した、というのです。

今流行している新型は、
コウモリから別の動物を経て人間に感染したとみられますが、
センザンコウが媒介したかは、まだ不明です。

センザンコウの全身は、堅いウロコで覆われています。
外敵に襲われると、ダンゴムシのように丸く縮まり、
ウロコを盾に身を防御する性質があります。

そのウロコには強力な血流改善作用があり、
子宮筋腫や月経不順といった婦人病に欠かせない薬として有名です。

ところが、密売が盛んに行われるようになり、
センザンコウは絶滅の危機に瀕して、入手困難な薬となっています。

私は90年代の3年間ほど現地に留学して、
実際の臨床現場を見てきました。
当時、センザンコウはごく普通に使われていた薬でした。

新型コロナウイルス誕生の背景に、
野生動物と人間社会の距離の縮まりを指摘するウイルス学者がいます。

20世紀後半からの都市化や森林開発により、
それに拍車がかかったというのです。

しかし、中国ではセンザンコウのほか野生動物は漢方薬の原料や食料として、
伝統的に重用されてきました。
こうした歴史的事実をどうみればよいのでしょう。