挑戦する勇気

「3万年前の渡来に成功」
先日のことだが、新聞のリードに目がいった。

国立科学博物館のチームが、
スギの大木をくりぬいて造られた丸木舟で台湾を出発し、
流れの速い黒潮を横断して沖縄県・与那国島に到着。
航行は200キロ以上、45時間に及んだという。

地図も時計も持たない当時を再現した航海技術は、
太陽や星の位置で方角を判断したものにすぎない。

丸木舟を製造するにも、
文明の利器を一切用いず、石おのでスギを切り倒すなど、
当時の技法とおぼしきものを駆使したのだった。


いにしえの人らは、
海を隔てた水平線のかなたに、どんな理想郷を思い描いたのか。
そこまでしてなぜ死の危険と隣り合わせの海を渡ったのか。
現代人の心を惹きつける。

体内には、そんな挑戦する勇気という一連の流れに相似した力が宿っている。
海を渡ると、陸と陸がつながり、線ができる。
意識としてつながった線は発光し、まばゆいビームを四方八方に放つ。
ビームに溶け込んでいる個別の流れが合体し、全体としての円環をなしていく。
そうして、病気は治癒へと向かってゆくのだ。