不思議でたまらない

詩人の「金子みすゞ」に、
「私は不思議でたまらない」と繰り返される詩があります。
不思議でたまらないと思うことは、私にもあります。

中国伝統医学のことを「中医学」と呼びます。
これにおける生理学には、
現代医学で言う「血液」に近い考えの体液、「血」(けつ)があります。

ちなみに「血液」という用語は、
「血液」よりも古くからある「血」という用語を参考にして、
名付けられたものです。

「血」と「血液」の両者には、
酸素や栄養分、老廃物などを運搬するという共通のはたらきがあるのですが、
両者は、全く同じものではありません。

その決定的な違いは、「血」の精神作用にあります。
中医学では、貧血のことを「血虚」(けっきょ)と呼び、
まさにこれは、「血」が不足した状態を指します。

貧血になると、
全身倦怠感、頭痛、めまい、顔色の悪さといった全身症状だけでなく、
不眠、不安感、鬱といった精神症状があらわれます。
こうしたことから中医学では、
「血」は精神活動を正常に保つための滋養成分である、と定義するのです。

ところが現代医学における生理学では、
「血液」の直接的な精神作用を認めていません。

私は不思議でたまらないのです。