まだ血流が行き届かない首筋を、
ひとはけ、ふたはけの、
さわやかな秋涼が通り過ぎていくのを感じた。
今夏の暑さを思い返した。
あれからつい先日までの間に起きた自然災害の爪痕を残したまま、
秋は深まりを見せ、季節の中を足早に駆け抜けていこうとしている。
ひと月もすれば、歳末が、もう目の前に迫っている頃だ。
季節の中で、秋が一番好きだ。
有形無形の、この空気感が、
かりそめの安らぎを与えてくれる。
先を急ぐ秋を呼び止めようとしても、
秋はいずれ、私から去っていく。
うたかたの恋のようで、少しせつない。
と、そのとき、「あなた、ちっとも変ってないのね」
片想いの秋に、こう言われた気がした。
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