気付かせてくれるもの

なんの努力もいらずに見えたり、聞こえたり、動けたりする。
これって、本当はすごいことなのに、
当たり前に、無感動に過ごしてしまいがちです。

毎日、漢方薬をのんでいます。
どこの調子が悪いとかじゃなく、
必然的に落ちていく体力を保つために。
スマートに言えば、アンチエイジングのために。

西洋薬じゃ、ダメなのです。
薬剤師が言うのもヘンですが、
剤型や味や臭いが人工的で、無機的なところを好みません。

スポーツが好き。
音楽が好き。
旅行が好き。
家でゆっくりするのが好き。
個々の嗜好はそれぞれ異なるけれども、
私はただ、漢方薬をのむことが好きなんです。

からだの真ん中には、
消化管という一本の管が貫いています。

漢方薬の成分が、
独特の香りも手伝って、
口や食道や胃の、そこかしこの粘膜から、
石をポーンと、池に投げてできる波紋のように、
同心円状に馴染んでゆき、
深部へ、末端へじんわりとしみ込んでゆき、
その優しさと繊細さを全身で感じるとき、
私は気付くのです。