年齢と体質

もう夏は終わったの? と思えるような空模様が続いています。
ただ予報によれば、来週から残暑が戻るんだとか。
夏は簡単には引き下がりませんよ。
依然として熱中症にかかるリスクがあり、
とりわけお子さんやお年寄りは、注意が必要ですね。

しかし毎年、「こまめに水分を摂ってください」
「室内では適度にエアコンを使用してください」などと、
耳にタコができるくらいの注意喚起がされているのに、
熱中症にかかる方の減る気配は、全くありませんね。

さて、ここからは、漢方的な話になります。
漢方理論では、子どもの体質を「陽盛」と表現するんですね。
一般論ですが、子どもは大人と比べて、
動き回り、よくしゃべり、疲れを知らず、日々の成長が著しい。
こうした身体の機能の活発なところが、「陽盛」なのです。
「陽盛」の「陽」は、熱中症の「熱」と同義です。

子どもは元気なわけですから、「陽盛」なのは当たり前であり、よいことです。
ただし、からだの器がちっちゃい。
器には、血液などの体液がつまっています。
こうした器や体液のことを「陰」といいます。

つまり子どもは、「陽盛」であるため暑さ、「熱」に弱く、
「陰」が小さく、「陰」の分量が少ないので、脱水症状を起こしやすいのです。

お年寄りの体質は、どう説明するのでしょうか?
例えば、90歳になるおばあさん。
これも一般論ですが、
おばあさんは、子どものような「陽」の亢進は、ほとんどみられません。
逆に、「陽」が低下しているので、自分自身に「熱」がこもりにくい。
そのため、気温が上昇しても、エアコンを使わずに過ごせてしまいます。
いや、使わないというか、
使うとからだが冷えすぎてしまうため、使いたくないのです。
よく、高齢者は節約志向から、エアコンを使わないと言われますが、
理由はそれだけではないのです。

また、おばあさんは若い頃と比べて、
「陰」が少なく、「陰」が縮こまっています。
髪が薄い、しわが多い、筋肉が痩せている、骨密度が低下している
─などの様子から、それをイメージできるでしょう。
つまり、おばあさんは「陽」の低下と「陰」の不足から、
熱中症に注意する必要があるのです。

涼しくなるまで、みなさまも油断せず、お過ごしくださいね。