ウイルスの性質

「かぜ」のウイルスの活動が活発になる季節は?と問われたら、
大方の人が、冬と答えるでしょう。
確かに、インフルエンザなどの原因となる、冬に流行るウイルスは、
冬の寒冷や乾燥を好む性質があります。

ただ、いま周囲を見渡すと、いわゆる「夏かぜ」にかかり、
だるさ、食欲不振、ゴホゴホするせきなどを訴え、
体調を崩している人を多くみかけます。
これは、高温や多湿の環境を好む、「夏かぜ」のウイルスが、
活動を活発にさせているからです。

この時季は、エアコンを使い、冷たいものを摂りすぎるなどして、
からだの内と外から、胃腸を冷やしてしまいます。
「夏かぜ」のウイルスは、胃腸で繁殖しやすいのですが、
そこが冷えてジトジトする環境を、さらに好む性質があるのです。

「夏かぜ」の漢方薬には、冷えた胃腸をほどよく温め、
そこにたまる湿気を乾かし処理する効果があります。
この「ほどよく温め」というところが、ポイントです。
「夏かぜ」のウイルスは、高温の環境を好むため、
あまり温めすぎてはいけないのです。

また、ただでさえ暑くて汗をかいているのに、
温めすぎると必要以上に汗が出て、
体液のバランスを崩し、
「かぜ」の回復に時間がかかってしまうことがあるのです。

その時々の季節の性質が、
その時々に流行るウイルスの性質に反映されるだけでなく、
私たちの性質にも反映されるからこそ、
とりわけこの時季は、胃腸の保護に努めるべきなのです。