休日はたまに、夜、歩きます。
朝の公園は時節柄、清澄な空気に若葉の匂いがうっすらと漂い、
そこを歩けば、1日の活力が与えられる気がします。
夜の静寂もいい。
空気の爽やかさは、朝に負けますが、
高ぶった神経を鎮静してくれます。
夜の静寂と言えば、学生時代を思い起こします。
当時、借家が多摩川の側にあり、
夜になるとよく、川の土手を走りました。
朝でなく夜に走ったのは、
夜型の生活を送っていたこともありますが、
夜の土手は人の往来が少なく、
無心になって走れたからです。
1時間ほど走ったあとは、
土手に腰を下ろし、しばしたたずみました。
暗闇の中でも、川の流れは常に規則的であるのに、
その水面は不規則に、透明にひかりました。
そよぐ涼風は、淡水のすえたにおいを運んできても、
汗ばんだからだを心地よく冷ましてくれました。
川崎方面には工場や家々のともし火が望め、
それが幻想的な世界を醸し出していました。
身近な場所にこんな世界があるんだと、
それをただボーっと眺めていると、
今思えば、なんてくだらない、チンケなことで取り乱し、
ささくれた私に安堵を与えてくれたものです。
夜の効用を求めて、
いつかまた、あの土手を訪れてみようと思っています。