これを他人に言うと、
「へぇ~。ウオーキングか。健康的でいいよね」などと、返されます。
歩幅を広く、こぶしをシュッシュッと突きあげて両腕を振り、
速めのテンポで颯爽と歩く私の姿を、思い浮かべるのでしょう。
ところが、私がするのは、普段と変わらない歩き方。
「ウオーキング」というよりも、「散歩」に近いのです。
格好だって、専用のスポーツウエアやシューズでなく、
室内着のパーカーや普段履くスニーカーなどを着用します。
ニット帽をかぶるのは、寝ぐせをかくすため。
寒ければ、無造作にポケットに手を突っ込んで歩きます。
実は、持久力をつけようと、当初は軽く走っていたのです。
それがだんだん速度を落とすようになり、
今のようなスタイルになってしまいました。
理由は、歩くくらいの負荷とリズムの方が、
妙案が浮かんでくるなど、思考のめぐりがよくなるし、
自省もできる。
さらには、肉体的な心地よさも感じられ、
このやり方は一石二鳥だ、と思ったからです。
何かで以前、「歩いて哲学する」という文章を見つけたとき、
「なるほど!」と、膝を打ったものです。
哲学するなどという、高尚な人間ではないけれど、
私はこれからも、歩き続けていきたい。